《聖書のことば》聖書暗記コースA~11 網の中の魚 あかし「イエスは彼らに言われた、『わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう』」 (マタイによる福音書四・19) イエスは比喩の名手です。漁師には、人間をとる漁師になれ、と言われます。羊飼いには、迷える羊の話などをします。商売人には宝を得るために、全財産を売る話をします。女にはパン種の話。百姓には種まきの話。そしてパリサイ人には汚れたる墓の話。 さて、最後にあなたに一言。あなたは、漁師の網にかかる魚ではないでしょうか。神の網に生け捕られ、神の言で生かされるほかはない、あなたは魚(魚はギリシャ語で初代教会の信徒の象徴語でした)なのです。 (1980.6.15週報「キリストの福音」より) 〔童話ふうに……〕 シモンとガリラヤ湖のぬし その晩は、一晩中、シモンとアンデレの兄弟は、舟にのって網を打っていたのです。けれども、魚は一匹もとれないのでした。さて、その網というのは、投網(とあみ)といって、舟の上から水面にむかって、うまく放り投げると、網は大きなスカートのように、ぱっとひろがって水の中に沈んでいきます。それを片手でゆするようにして水面から引き上げながら、もう一つの手で繰り上げていくと、網の底の方に魚がつかまっている、といったようなものです。シモンたちの網はもう大分傷んでいましたが、それでも大切に扱うものですから、まだまだ相当使えそうでした。 そこはガリラヤ湖という湖(みずうみ)でありました。イエス様の大好きな、きれいな湖でありますが、しかし、その底には、たくさんの汚(けが)れたものが沈んでいましてね(日本でも海の底はヨミといって死人の行く所と思っていたそうですが)。ガリラヤ湖の底の一番深いところに、実はガリラヤ湖のぬしがすんでいました。その主(ぬし)が、ガリラヤ湖中の魚や生きものを集めて、大会議をひらいていたのです。だから、シモンやアンデレがいくら網を打っても、魚はとれないはずですよね。 「おい、みなの者。この頃どうもいけないよ。ヨルダン川から流れこんでくる水に、あのおいしい汚れ物が少くなった。このままでは、みんな栄養不足になってしまう。あの川の水は、この頃、えらいキレイになってしまって、お互の体によくない」 「それは、王さま。イエスという人が、バプテスマを始めてからです。そのバプテスマの水が、すべて最近の悪いことの原因です」 「なるほど、それでよく分った。しかし、どうしたらいいだろう」 ガリラヤ湖の底の国会は一向にはかどりません。その頃、シモンとアンデレは、もう漁をあきらめて、舟を陸にあげて、網を洗っていました。 「シモン君」 はっとして声の方を見ると、シモンの舟にイエス様が乗りこんでいました。 「シモンよ、アンデレよ。あの海岸の大勢の人数を見給え。あの人達に神の国の話をしてやりたいのだ。私の伝道の加勢をしてくれたまえ。私をのせて、舟を、あの群衆の前の水面にこぎ出してくれたまえ。私は舟の中から、彼らに話をしてやりたいのだ」 シモン兄弟は、今さら何を言えましょう。腹の中では少しは仏頂面でしたけれども、とにかく人目には喜んでイエス様の付人(つきびと)のようにして、舟をこいで皆の前に出たのです。みんなはざわめきました。 「おや、シモンとアンデレじゃないか」 二人は顔をまっかにしました さて、しばらくしてイエス様のお話は終りました。たくさんの人だかりは消えて、舟にはシモンとアンデレが残りました。 「シモンたちよ、よいことを教えよう。引き網をもってきなさい。そして、あの一番水の深いところに行きなさい。網をできる限りひろくひろげて魚をとりなさい」 山奥の村のナザレの大工であったというイエス様に、漁のことをかれこれ指図されるのは少し嫌でした。 「先生、ゆうべ一晩中かかっても一匹もとれなかったのですよ。しかし、先生のお言葉のとおりに引き網をもってきて、おろしましょう」 その時、みなさん、湖の底ではガリラヤ湖中の魚たちが集って会議中でしたからね、魚はもちろんいっぱいとれました。シモンが、網を引いて最後を見ると、ギョロリと目をむいた、こわい、みにくい、ぬしのようなやつがシモンをにらみつけました。 「ひえーッ」 シモンは自分の汚れ、罪、わるい所をみんな、にらみつけられたように思って、思わずイエス様にしがみついて、「許して下さい」と叫んだのでした。 (1980.6.15週報「キリストの福音」より)
by hioka-wahaha
| 2017-05-27 19:02
| 週報記事1980年
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