心はおのれの鏡である 人は鏡を使ってしか、自分の顔を見ることは出来ません。人は鏡の前にいるとき、あまりおかしな格好はせぬようであります。(人が鏡の前でおかしな顔をするのは、子供のようにわざとふざけるときか、或は男性のヒゲをそる時のみであります)。 * 人がおこったり、泣いたり、すねたりしている時、その人の前に鏡をさし出したら、多分その人はプッとふき出すか、あるいは嫌がって鏡を払いのけるかでありましょう。 もし、人がいつも鏡を前にしておれば、(又、そうしておれるようであれば)、その人は常に表情を正しくしておる事ができます。 * 聖書(ヤコブ一・23~24)は言います。 「おおよそ御言を聞くだけで行わない人は、ちょうど、自分の生れつきの顔を鏡に映して見る人のようである。彼は自分を映して見てそこから立ち去ると、そのとたんに、自分の姿がどんなであったかを忘れてしまう」。 * ところで、人間は鉄やガラスにまさって、すぐれた鏡をもっているのであります。鉄器の鏡もない頃、人間は水の表を最も良い鏡とした事でしょう。箴言二七・19にいわく 「水にうつせば顔に顔が答えるように 人の心は、その人をうつす」 * 人間の霊(人格の中心・実存・本当の私)は、あたかも人の顔のように自分を見ることができないのです。誰でもちょっと自分の内部をさぐれば分りますね。いろんな思いと記憶が浮び出ますが、「我」がどこにあるのか、まことにむつかしい。ヒトミがヒトミをさがすようなものであります。人は鏡で、その人の顔を見るように、人の霊は、心にうつる思いを見て、自分の実相をさとります。 * 故に、自分の心を見るという事がいかにも大事になります。むかし、これを「自観法」と呼びました。目を他人にむけず自分にむけるから最初の悔い改めがおこります。困難な時にも、悩みもだえている自分を見つめつつ主を仰ぐから、謙遜と勇気が同時に出ます。罪をおかしやすい自分と、救われている自分を、どちらも正直に見つめ、そこで落ちついて対処できます。あわてず一息入れて、主を呼ぶ事が出来ます。 (1978.4.9週報「キリストの福音」より) 自殺は許されるか 四十年程前、あるドイツ映画を見たことがある。(その頃のドイツは、名画を多く世界に送り出した)。ある少女がきれいな湖で自殺し、その葬儀を教会の司祭が拒絶した。私は、その律法主義のかたまりみたいな司祭をにくみ、少女の自殺を嘆美した。 私はその後数年して、ある事由で自殺をくわだてて失敗した。私には自殺者の冷徹なまでのむなしい気持がよく分る。自殺した事のない人間が、自殺者の気持をいくらあれこれと批判してみても、矢張りよく分っていないのだ、と弁護したくなる。 しかし、それでも自殺の罪は最大であると言いたい。主は「自分を愛するように、人を愛せよ」と言われた。人を愛する、という人はその前提に、おのれを愛する人でなくてはならない。おのれを殺す人は、人を殺す人であると言われても仕方ない。自殺は、最大の殺人行為である。 心が最大限にきれいな人が、人生の最後の道に於て最悪の選択をした時、その人の「司祭」は、その葬儀に実に困る。あの映画の中の司祭のように、あっさり拒絶は出来ず、かと言って葬送の言葉がない。「その人は生れなかった方がよかったのに」と言うほかはないのであろうか。 自殺者(他の悔い改めぬ罪人も含めて)の死にさいして、なぐさめの言葉は、聖書六十六巻中、本当に僅かしかない。 「こうして、彼(キリスト)は獄に捕われている霊どものところに下って行き、宣べ伝えることをされた」(第一ペテロ三・19) 「死人にさえ福音が宣べ伝えられたのは、彼らは肉においては人間としてさばきを受けるが、霊においては神に従って生きるようになるためである」(第一ペテロ四・6) 実は、この霊どもとは、ノアの時代の人々(つまりまだキリストのあがないを知らない人々)の事であってキリストの救をうけられた人々の事ではない。「いったん、光を受けて天よりの賜物を味わい、聖霊にあずかる者」となった者が、御子をさらし者にして、再び悔い改めに立ち帰ることは不可能かもしれないのだ(ヘブル六・4~6)。 ここに至っては、私達はもはや「死人の事は死人(真実の死者はキリストのみ)にまかせよう」(マタイ八・22)というほかはないのだ。 (1978.4.9週報「キリストの福音」より)
by hioka-wahaha
| 2016-04-07 13:31
| 週報「キリストの福音」
|
検索
ライフログ
カテゴリ
全体 日岡だより 週報「キリストの福音」 死を考え生を考える 2008「イエス様は癒し主」 1975集会だより 1975別府聖会の記 1974「神の息よ吹け」 1973「心に満つるより」 1972大分通信 1961旅する手紙 未分類 以前の記事
2024年 01月 2023年 12月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 02月 2021年 01月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 リンク
外部リンク
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||