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No.727 「生きながら 死人となりてなり果てて思いのままにする業ぞよき」/われらの祖国・日本/信念と包容の宗教 2015.12.20

「生きながら死人となりてなり果てて
  思いのままにする業ぞよき」

◇今日は至道無難禅師(一六〇二~一六七六)の歌と伝えられるものを、そのまま説教題として用います。無難の弟子は正受、その弟子が白隠です。無難はもと美濃関ヶ原の庄屋、五十二才で出家した人です。
(1978.2.5週報「キリストの福音」より)


〔来週の説教のために〕  
われらの祖国・日本 

 戦争中、自称「愛国者」どもにより、たくさんの人々が迫害されました。その中の一人、当時の東京帝大の教授の職を追われた矢内原忠雄は、その著「余の尊敬する人物」(岩波新書赤版)の中で、エレミヤか日蓮の小伝のあとで、こう書いています。
 「誰が真の愛国者であったか、後の歴史であきらかであります」
 これは、日本ファッシズムの荒しのまっ只中で書かれた、おどろくべき真の愛国の書であります(当時、私は目を泣きはらして読んだものです)
 真の日本人クリスチャンは祖国日本を愛します。
 来週は時流に流されず、キリストの真理と似て非なる欧米人の主義思想にもまどわされず、キリストの光に照らされて、日本人の源流と、日本国の建国の理想をさぐりたいのであります。
(1978.2.5週報「キリストの福音」より)


信念と包容の宗教 

 一つの家の中に、神棚と仏壇があって、壁には論語の言葉の額がかかっている。これが典型的な日本の家です。神仏儒、千年間も同居して矛盾を感ぜずにおれる日本人のあいまいな意識には、おどろきます。
 西洋人は、この点きっぱりしています。そういう、本来の性格もあるのでしょうが、そこへもって来てキリスト教が入って来た。一神教の排他精神でこりかたまったユダヤ式がんこさで右と左を峻別する。必要以上に迫害もおこり、自殺的殉教者も出る。そういう西洋的キリスト教の行くところでは、各民族の神話も伝統も抹殺され、風俗さえ西洋化されていくのであります。
 
 右の二つの型は、どちらも未成長の宗教意識であると思います。
「(1)おのれの信仰への忠実と遵守において、熱烈無比であること。
(2)他の信仰に対して寛容であること。」
 この二つの態度は論理的に矛盾する筈ですが、一個のるつぼの中で二つの相いれぬ金属が合金できるように、一個の人格の中で、この二つが融和されるならば、何とすばらしい事でしょう。
 この真理を教えてくれたのは、ガンジーでした。
 
「愛のみが神を私に紹介する。愛は私の礼拝所である。愛は工場にあり、田園にあり、街頭にあり、寝室にあり、事務室にあり、台所にあり、病室にある。私は宇宙の至るところに礼拝所を持つ。愛あるところに、神がある。愛に於いて神を拝するものは、永遠に行きづまらない。愛は絶えざる泉である。愛に宗派はない。仏教徒とか、イスラム教徒とか、キリスト教徒とかいうのは、愛の区分のしかたではない。愛は包容を知って、差別を知らない。愛はすべてを人間に還元し、すべてを救い上げる。愛は最後の宗教である。教条によって私を区別するな。私は愛のほか、何ものにも属しておらぬ。
 かくあるべく私に教えたのは、イエスである。イエスは、教条によって人をうとんぜよとは教えなかった。愛は最後の啓示であり、最後の神殿である。私は愛の前にのみぬかずく。愛は私のすべてを領有する。神は愛である。
 永遠の愛よ、わき上がれ! わが内なる神よ、光栄を着よ! 今や世界は愛の飢饉に出合せている。愛のほかに、それを救済することは出来ぬ。」
 これは、五十年前に書かれた賀川豊彦の言葉です。今、彼の言葉を書き写すとき、ただ旧かなづかいを新かなづかいに訂正しただけ。実に現代的なテンポの早い名文なので、びっくりしました。
 
 人をおそれ、世間をおそれ、妥協とへつらいで、何教でも宗教は一つさと、ハナのさきであしらい、自分の内面を少しもほり下げず、社会の矛盾と悲劇に目をとじているアイマイ居士では信仰は分りません。そういう人が何と多い事でしょう。
 あるいは又、一宗一派にこりかたまり、我が教派だけ真理の真髄として他教派をさげすみ、教典や教義を重箱のすみを針でつつくような執拗さで研究して、同宗身近の教派とすら神学を争い、信者争奪戦を演じる、といった教団、教会も多いのです。
 当教会は、どの教団、教派にも属していません。単立の教会であります。その故に、時には不便不利益の事もありますが、今後とも今のままの姿で、あくまでもイエスを信じて熱烈奮闘、他宗他教派に対して自在寛容の態度でありたいのであります。
    (1978.2.5週報「キリストの福音」より)



by hioka-wahaha | 2015-12-26 08:10 | 週報「キリストの福音」
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