天の栄光を望み、地の喜びをもって生きる
この度、松村さんを天にお送りしました。当教会の信徒の皆さんの多くの方々は存じ上げない人でしょうが、かつての私どもの良き同志であった森幸子さんの友人でもあり、私の旧居のあった大分市大手町(旧・米屋町)にお住まいであった方です。 2000年6月11日、ペンテコステ礼拝にて当教会で洗礼を受けられました。この日岡だよりを毎週待ちかねて喜んで読んでおられたこと、足が弱っていてなかなか礼拝に出られなくて残念がっていたこと、そんなことをご遺族より知らせて頂きました。 私としても、この日岡だより300号のときに、思いがけなく記念のお祝いを送っていただき、そのように大事に思ってくださることを嬉しく感じたことを思い出します。 それにしても、もう少し訪問してさしあげなかったことを申し訳なく思います。こうした姉妹の死の床を訪ねることは牧師にとって苦痛なことでありますが、またお詫び心を抱きながらお訪ねすることでもあります。久しぶりに見る姉妹のお顔を拝見しながら、感慨無量、心をこめて祈ったのでした。 死の床にある同姉の額に手を置きながら祈る時、初めてお会いしたのは何時のことであっただろうと回想します。 残ったご夫君が孤閨を守って居られるお宅は私の級友高木君の生家、高木酒造の残したビルの最上階にあるが、お訪ねしたことがあると思う。私の旧居から50メートルも離れていない程の近くである。 結婚生活はいろいろあるが、幸不幸にかかわらず思い出は大きいはず、その結婚生活が長ければ長いほど。松村さんご夫妻の生死の別あれど、主にあるご多幸を祈ったのである。 「生死の別あれど」とは、私も妻を亡くしていて、今も幸福そのものであるから、特にそのように思う。夫婦の関係はあるカップルにおいては永遠である。なんという祝福であろう。このような夫婦のことについては、またいつか書きたい。《く》 私にとっての禅 (二) <日岡だよりNo.504よりのつづき> 私はだから、聖書や経典の枝葉末節にかかずらわって、針でスミをつつくような定義解釈や教理論をほじくることはたいして意味のないことだと思う。 私がクリスチャンであって平気で禅寺に出入するのもこの故である。クリスチャンもくそもあるものかと思う。私はクリスチャンではない。イエスと同じく神の独り子である。 イエスが神の独り子であり、そのイエスが、私の内に住み、イエスが充満して、私が死んでいるなら、私に今残っているのはイエスのみで、それはつまり神の独り子。かんたんな方程式である。 その「我」を信じることが信仰、その信仰が汝を救う、判りますか。 「私にとり、イエス・キリストの十字架のほか、誇るところはない」と、パウロは言った。イエス・キリストの十字架とはイエス・キリストの生命だ。 十字架は彼の死を示し、彼の死は新しい生命を意味し、その生命は私の内に生きる生命である。以上はいささか文学的表現にすぎるから、もう少し化学的に説明しよう。 私は今この原稿を車中で書いている。この車はディーゼル車らしい。ディーゼルエンジンの中で重油が燃焼してそのエネルギーが解放され、エンジンがまわり、車両が走り、私もいっしょに時速八十キロメートルくらいのスピードで移動している。 かって重油の中にあったエネルギーはディーゼルエンジンという十字架の中で死に、そしてそのエネルギーは私の中に生きてレール上をつっぱしっている。 イエス・キリスト(の生命)が私の誇りであって、その他に誇るところが断じてあってはならない、という時、パウロのベニヤミンの後裔としての誇り、ローマ市民の誇り、使徒の誇り、独立伝道の誇りはどこへ行くのだろう。それらのすべてをキリストのものとして誇るのである。 一万円札が一万円札としての誇りをもつ時、当然、その紙質や印刷やデザインや、そのすべてが一万円札としての誇りを担う。汚れてちぎれた一万円札でもやはり一万円札であることにまちがいないが、なおかついつまでもきれいな紙幣でありたい処に一万円札の自負心がある。神の子もさもあれ。 <「私にとっての禅」終わり> (1973.11「心に満つるより」No.2より)
by hioka-wahaha
| 2011-09-13 16:28
| 日岡だより
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